VOCA展








例えば野球のピッチャーならアウトローのストレート、ダンサーなら眼と指先を本線として観察し、そこから受けを広げていけば、だいたいのレベルは測れるように思うのですが、絵画(彫刻)の場合はどうでしょうか?


特に現代絵画(彫刻)を批評するのって怖いんですよね。「バ〜カ、おまえ全然わかってないな」って後頭部をポカンとどつかれそうな気がして。



それでいて、いざVOCA展






この展覧会には「賞」があります。賞というのはさほど重要ではありませんが、作家がプロとして食いつないでいくためには少なからず必要なので、全くどうでもよいとは言い切れません。それで賞を獲る作品と獲らない作品。「実物を観たら納得するだろうか?」と思って観てきました。


答えはNO。受賞した作品は受賞してもよいと思いましたが、他にも良い作品が数点あって、この作品は受賞するけど、あの作品は受賞しないという理由をうまく説明できないように思いました。図録に載っている選評者のコメントも読んでみましたが判別のポイントはよく分かりません。


とは言っても、展覧会自体はすごく良くて収穫が沢山ありました。


山内崇嗣さんはずっと前から知っていて作風の変化や作家の意識の流動を知っているからかも知れませんが、今回の作品は納得できるいい作品でした。他にも堀由樹子さんや俵萌子さんもいい作品で、作家本人とぜひ話したいと思いました。このあたりの作品は受賞してもいいと思いましたが、僕が選評者だとして、彼、彼女らに賞を与えようと思った場合、何が言えればよいのだろうかと考えて観てました。


また、伊藤雅恵さん、藤原裕策さん、関根直子さんといった受賞作家が自作を語るというイベントに運良く出くわしコメントを聞いていると、作家と作品のキョリが良好な状態にあることが伺えて、こういう作家の作品なら、これからもずっと観てみたいと思いました。

蜷川実花さんは知ってますし好きですけど、メディアが違いますから。それはそれでいいなって思いますし、私は私でやってます。(伊藤雅恵)※1

「塗る」って重ねるだけの作業なのでいつ終わるか困るんですよね。ある意味果てしない。だから今回は彫ってみました。彫るのは一発勝負だから。といっても、いつ終わるかはこれはこれで難しいんですよね。この作品だってもっと前の段階でやめていいかなって思ったのですが、今回はここでやめました。(藤原裕策)※2

いつ終わるかですか?そんなの言えません。まあ、アトリエで制作していて、朝、昼、夜、いろんな光で作品を観るというのは結構まめにやっていて、それで朝の光ですごくよく見えたときがあって、これでやめていいかなって思ったりはしましたけどね。(関根直子)※3

あと、「写真の作品」が良かったです。写真ってなんかずるいというか、胡散臭いと思っていたのですが、今回おそらく初めて素直に受けとめられました。作家がというよりも写真というメディアが、いい感じで落ち着きがでてきたのかな?と思いました。

そういう訳で、明日は偽日記で紹介されていた堀由樹子展福居伸宏展大谷佳展paint/noteで紹介されていた北島敬三展をはしごしてきます。


あっ!

VOCA展は、上野の森美術館で3月30日までです。お見逃し無く!!


ではでは。




※ photo by montrez moi les photos





※1,2,3 一応ノートを取りながら聞いていたのですが完璧に記録していた訳ではないので、作家のコメントは多少ニュアンスが違っているかもしれません。悪しからず。