三条会『S高原から』
《演劇》三条会
タイトル: 『S高原から』
作: 平田オリザ
演出:関美能留
■■出演
渡辺友一郎 立崎真紀子 中村岳人
橋口久男 大川潤子 榊原毅 (以上 三条会)
近藤佑子 永栄正顕
浅倉洋介(風琴工房)
大倉マヤ 工藤真之介
■■スタッフ
舞台美術:石原敬 照明:岩城保
宣伝美術:京 制作:久我晴子
■■日程・場所
2010年1月15日(金)〜 1月18日(月)@下北沢ザ・スズナリ
《感想文:大胆かつ繊細》
三条会『S高原から』@下北沢ザ・スズナリ。 ・・・。これも演劇!? これぞ演劇!! だから演劇はやめられない。初めて観た人や平田オリザ作品を念頭に観にきた人はおそらく「何これ???」と度肝を抜かれることだろう。私もその一人だ。「これはオリザさんに対する冒涜だ!」と言う人もいるだろう。いやいや、三条会・関美能留は戯曲に最も誠実な演出家と言うべきでしょう。単なる《出鱈目な演出》ではなく《大胆かつ繊細な演出》だ。色々指摘したい点があるけれども少しだけ。
《平田オリザ演出作品》
・俳優 = 戯曲を実演する人
・場 = サナトリウムの面会室(現在)/ 死(未来)がチラつく
・舞台空間構成 = 一層
《関美能留演出作品》
・俳優 = 戯曲を読む人を実演する人
・場 = 学校の教室(過去)⇔ サナトリウムの面会室(現在)/ 死(未来)がチラつく
・ 舞台空間構成 =複数層
『S高原から』のテーマは「生と死」。サナトリウムに入院している患者は「生」に対する感覚が弱まっていて「生/死」あるいは「健常者/病人」の判別が麻痺して曖昧になってしまっている。生死の境界がゆらぐ、その微妙な点をこの作品は描いており、平田オリザ演出作品の場合、鑑賞者は、患者・医者・面会人が交わす会話、しぐさ、間合い等からそれを読み取っていくのに対して、関美能留演出作品の場合は、鑑賞者が視点をどこに設定してよいのか? もうその段階から揺らぎが発生して、その後も展開される舞台の時空間・事物・概念が揺らぎ続けるので鑑賞者はその渦に巻き込まれてしまう。
すごいことやっちゃってます。みなさまもぜひ一度三条会を観てみてください(汗。。。
※ photo by montrez moi les photos
カトリヒデトシ・鈴木励滋・徳永京子
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