はえぎわ『ライフスタイル体操第一』
はえぎわ第25回公演
ライフスタイル体操第一
作・演出: ノゾエ征爾
期間:2012年9月28日〜10月8日
会場:三鷹市芸術文化センター
《感想》ラジオ体操とは人生そのものである。
※ ネタバレは極力ないように書いてます。
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最近、はえぎわが気になっていたので観れてよかったです(笑)。
この作品って単に「ラジオ体操第一って、おかしくねー」って、ホントそれだけで作ったんじゃないかって...
でも、それだけで、2時間5分、老若男女総勢27名出演の超大作ヒューマンドラマをつくってしまうとは… いやはや、ノゾエって人はまったく 汗。。。
作品は、ウエルメイドというか、泣いて笑って踊って歌ってというザ・演劇の路線を踏襲しつつ、ブロードウェイっぽいとちらっと思わせつつ、
でも、あれは欧米の体が大きくてスタイル抜群の人たちがやるから見栄えするのであって、日本人がやったら二番煎じだよなーって、そんなことをノゾエさんも思っているのかどうかは知りませんが、ブロードウェイと違って絶妙にハズすんですよねー それがちゃんとはえぎわっぽいオリジナルな仕上がりになっていました。
事前情報では、舞台を黒板の壁で囲んで、チョークでどんどん字を書きながら話を展開してゆくと聞いていたのですが、今回は壁に字を書くシーンも2,3回ありましたが、それを前面に押し出すことはなかったです。中央に可動式のキューブ状の部屋を置いて、それをくるくる回したり、前に寄せたり、後ろに下げたり、中に入ったり、窓をつかったりと、大人数の群像劇でかつ不条理劇の複雑な場面展開をシンプルにうまく表現していました。
あとポスターに「キレ味するどいセリフ」と謳われていたのですが、これがけっこう面白い。なんか格言めいた、自己啓発っぽいセリフやおばあちゃんの知恵的なセリフをふんだんに盛り込むんですね。
例えば売上げが伸びないスーパーの店長が定食屋で凹んでたら、成績のいい女性の同僚が去り際に、
座ってる場合じゃないぞ! わたしなんか、もう1年くらい座ったことないんだから(ニコッ)
とか、もういかにも自己啓発ノリノリのキャリアウーマンがいいそうなセリフを言ったり、死にそうな主役がよろめきながら、「生きてるものはいないのか」ってさりげなく言ったり、
あ、それで『生きてるものはいないのか(映画版)』が観たくなったので蔦屋でDVD借りてきてみたんですけど、たしか前田司郎さんが演劇をつくったときは、「舞台が死体で埋め尽くされる作品をつくってみたかった」と言ってたと思うんですけど、ホントそれだけなんじゃないかって、舞台のときは失笑の嵐だったんですけど、映画にするとなんかすごいな、これ 汗。。。
あ、『生きてるものはいないのか』の話はどうでもいい、今は『ライフスタイル体操第一』なんだ。ノゾエさんは、なんか機転がきくというか、劇じたいは不条理そのものなのだけど、セリフは妙に説得力があるというか、頭にいちいちひっかかってきて、群像劇の個々の設定にしたって、「あるある!」って思わずうなずいてしまうような人生模様をギュギュッと詰め込んでいて、不条理劇の場合はふつうこちらも理解することを諦めちゃうんだけど、ノゾエさんはあくまでも理解させつつ理解できないことを表現する。
全体的に正統派といえるスタイルだけど、ノゾエさんは頭よくて腹黒い人だな〜って感じたし(笑)、構成やセリフを分析してみるとけっこう面白いかも!って思えたので、今後も見続けようと思います。
《きょうの一言》
ラジオ体操とは人生そのものである。
みなさまにもオススメです。ぜひ!!
では、また明日!
追記《生きてるものはいないのか》
これ、映画にするとなんかすごい 汗。。。
死が逃れられない絶望的な状況になったときの人間の、言葉のバカバカしさ、ひたすら空回りしてすべりつづける会話は、もう「笑い」以外のなにものでもない…
なんて、気の利いたコメントもできるのだけど…
なんか、映画版は「世界が破滅する」という背景がくっきり描かれていて、その逃れようのなさに吐き気がした…
そうそう、あれだ、『オープンウォーター』のエンディングの救いようのなさに近いなー
ああ連休初日なんかに観るんじゃ無かったよ….
《関連書籍》
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