パラドックス定数『深海大戦争』
《演劇》パラドックス定数
タイトル: 『深海大戦争』
作・演出: 野木萌葱
■■出演
植村宏司 西原誠吾 井内勇希
諌山幸治 兼間慎
森田ガンツ 小野ゆたか
■■スタッフ
照明:伊藤泰行 音響:田中亮大
舞台監督:佐藤恵
写真:渡辺竜太 販促:副島千尋
宣伝美術:植村宏司
制作:たけいけいこ 今井由紀
■■日程・場所
2015年9月8日(火)〜 13日(日)@上野ストアハウス
《 感想文:Don't think ! Feeeel ! 》
結末が描かれていない、いや描けなかった演劇を初めてみた。パラドックス定数『深海大戦争』での出来事。ちょっとびっくりしたけど、冷静に考えたら、こういう事態はいつ起こるか分からないし、むしろ頻発してもおかしくないと思った。
そう言えば、俳優がセリフを忘れるという事態を目撃したのも7年ほどの観劇歴で1回だけ。いわゆるループという現象だったけど、絶対にセリフを忘れるなんてありえないというベテラン俳優がその時だけやってしまったという、たったその1回だけ。
今回の場合もアンチ予定調和といったようなコンセプチュアルな主旨ではなく、劇作家の野木萌葱さんが本当に結末を描けなかったということだったので、逃げずに攻めた結果がこうなったということだから評価すべきだと思う。
さて、緻密な会話劇を得意とする野木萌葱さん作・演出ということで期待しての《パラドックス定数》初観劇だったのだが 汗、、、
のっけから、「えっ!?」というような感じであり、最後の最後まで、この作品は一体全体どう捉えたらよいものか??? まったく分からなかった。
でも、正直ラッキーだと思った。野木萌葱さんの初観劇作品が『深海大戦争』だったということは、野木萌葱作品を今後観て行く上で、「いや〜、これは絶対にプラスに働くでしょ!」、だって野木さんの頭のなかをまるまる観れちゃった訳だから!!
野木萌葱さんの他の作品はまだ観たことないけれど、緻密な会話劇を得意とするということは構成力が突出しているということだろう。対して『深海大戦争』はイメージを扱っている。終盤は会話劇(構成)へと展開しているけれど、序盤は完全にイメージの世界。
劇作家で言えば、野木萌葱さんの対局にいるのが前田司郎さんかな。
野木萌葱さんと前田司郎さんの比較はけっこう面白いと思うけど、この話はまた改めて。それはさておき、『深海大戦争』では深海がリアルに描かれる訳ではなく、深海における神秘性が東洋的なテイストで描かれていた。
深海生物の動きが、流れるような、太極拳のような動きとして描かれていた。抹香鯨(森田ガンツさん)と大王烏賊(諌山幸治さん)との対決にあの人を思い浮かべたのは私だけではないだろう。
ま、どちらかと言えば、諌山さんがあの人で、ガンツさんはちょっと酔拳が入ってたかな(笑)
ガンツさんのたたずまい、諌山さんの顔芸、植村宏司さんの声をはじめ、今回の俳優陣はみな俳優として喰っていくための誰にも負けない術を持っていると同時に、
あれほど作家が暴走しているにもかかわらず、忠実にというか、よくもまあ、あんな役回りをこなせるもんだな的な能力を兼ね備えていた。
あの声、あのたたずまい、あの表情、いくつも記憶に残るものがあった。深海の生物よりも俳優という生物の方が正直すごいんじゃないか! と思った。羨ましい。あの生き物には、人間のぼくはもう太刀打ちできない。。。
さてさて
別に結論を急ぐ訳ではないので、続編とかセコいこと言わずに全部書き直してもらっても全然OKです。金返せなんていいません。必ずお金払ってまた観に行きます!!
野木萌葱さん!
あのひとのことばを思い出して!!
Don't think ! Feeeel !
好評?連載中!こちらもよろしく!!
好評?連載中!こちらもよろしく!!