クロムモリブデン『七人のふたり』
《演劇》クロムモリブデン
タイトル: 『七人のふたり』
作・演出: 青木秀樹
■■出演
小林義典 武子太郎 花戸祐介
葛木英 金沢涼恵
吉田電話 森下亮 ゆにば
青地萌 池村匡紀 岡野優介
粕谷大介 きむらゆうか(劇団平成商品)
久仁明 小林タクシー(ZOKKY)
戸村健太郎 土井玲奈 林芳弥(湾岸ビルダーズ)
■■スタッフ
音響効果:笠木健司 照明:床田光世
舞台監督:今井康平(CQ)
演出部:入倉麻美 溝端理恵子(茶ばしら、) 大多駿介
瀬戸涼平(0LIMIT) 黒川知樹(劇団森)
音楽担当:yasuski
造形班:辻朝子 増田靖子 じょう(アステカダイナマイト)
朝倉靖子 ステファニー(劇光族)
宣伝美術 尾花龍一(MONSTERS,INC.)
宣伝写真 安藤青太
Web 小林タクシー(ZOKKY)
■■日程・場所
[東京公演]
2015年5月22日(金)〜6月2日(火)@赤坂RED/THEATER
[大阪公演]
2015年6月6日(土)〜6月8日(月)@HEP HALL
《感想文:多幸絶望》
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(1)
前作『こわくないこわくない』に引き続き、アンダーグラウンド色のこゆい作品。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(2)
前作『こわくないこわくない』
《感想文》
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(3)
前作はカスパー・ハウザー的な強烈なモチーフがあったけれども、今回はなんというか、言われてみれば、「あっ、最近よくやってるよね」と感じるサブカル現象、現代風俗の変化がモチーフ。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(4)
まずはYouTubeに代表される「動画」。動画を気軽に撮って、気軽にインターネットにアップできるものだから、いままで目に触れることがなかったあんなことからこんなことまで簡単に見れちゃうようになった。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(5)
もう一つはクローン。クロムの青木秀樹さんがタイトルにある七人というのを現代的に解釈している。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(6)
七人と言えば、『七人の侍』や『荒野の七人』などに代表されるように「個性的な七人」が寄り集まって、という色がこゆい。 つまり「七人」とは個性の象徴である。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(7)
けれども、例えばクローン技術が確立したら七人ともみんな同じ人なんてこともありうる。「七人」を個性的と解釈するのではなく、同語反復的に(トートロジカルに)連鎖する人びととすることもできる。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(8)
「七人のふたり」というのも語義矛盾にならなくなる。山田君と田中君ならば二人だけど、山田君と山田君のクローンと田中君の場合は三人というのか、三人のふたりというのか、このあたりまだコトバの定義ができていないよね。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(9)
う〜ん、こういうのをぐりぐり考えるとあたまがおかしくなってしまうし、青木さんもあまり過度に深刻にグリグリ描くというスタンスはとっていないようだった。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(10)
で、クローンに関しては正直まだあまり実感がないのだけど、動画に関してはかなりゾクっとした。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(11)
『七人のふたり』は高校に入ったけれど、友達がいなくて退屈な少年がクラブをつくるところから始まる。それが人気動画サイトをつくるというユーチュー部。ま、放送部とかあるんだから、現代風にユーチュー部があってもいいよね(笑)
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(12)
で、さいきんではVineなんかも出てきて、動画をネットにアップするという行為が市民権を得てきたよね。それによって、当然、よのなかの有り様もかわってきているんだよね。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(13)
この動画をアップするという行為で異様な発達をみせているのが「自撮り」ってやつ。映画やテレビで「ドキュメンタリー」という手法が発達したけど、それとは違う。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(14)
自撮り棒とかちょーウケるんですけど―WWW
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(15)
あとその動画の拡散のしかたもおかしくて
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(16)
ネットの拡散を考える前にテレビについて考えてみる。今では当たり前かもしれないけど、テレビの誕生によってよのなかの有り様は確かに変わったと思う。例えば、芸能人っていうのはテレビによって生まれた、意味が変わった職能だろう。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(17)
ツイッターのフォロワー数をみると、何十万人というオーダーで、こういうヒトはたいていテレビに出ている人で、こういう人を芸能人、有名人というのだろう。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(18)
ま、何十万人にフォローされたからといって、その何十万人もの人びとに強い関心を持たれているかといえば、そんなことはないんだろうけど…
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(19)
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(20)
100万アクセスといって騒がれたり、アクセスランキングとかもある。で、そのアクセスランキング上位の動画っていうのが、「んっ???」 という感じ 汗。。。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(21)
このあたり世の中の有り様、コミュニケーションのあり方って着実に変わってきている。こういう現象って、しばらくはほとんど意識されないのだけど、あるとき、突然がらっとひっくり返る。
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(22)
ある時、テレビがホントに見られなくなって、YouTubeやVineが人びとのコミュニケーションの主役になる時が必ずくる。しかし…
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(23)
テレビもあまりいいように言われなかったけど、肝心の人気動画ってのがもうどうしようもないものばかりで、これはこれで「ギャー!」って、よのなかになっちまうかもね。トホホ...
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(24)
そんな感じで、ってどんな感じかさっぱり分からないでしょうけど、クロムの作品を見ていると言われてみればそうだけど、ふだんなかなか意識しないこういうよのなかの闇の部分をつぶさに感じる。で、どちらかといえば気持ち悪い★
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(25)
しかしながら、前回と同じく今回の『七人のふたり』でも強烈に印象づけられたのだが、クロムの俳優演じるコミカルなキャラから感じられる「多幸感」と描かれている世界のどうしようもない「絶望感」とのギャップ!
これ如何に???
【観劇】クロムモリブデン『七人のふたり』(26・終)
これがクロムの最大の魅力であり、かつ最大の謎である。
クロムモリブデン過去公演《感想文》
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